想像してみてください。あなたは多忙な IT チームを管理しています。ソフトウェアのインストール、ソリューションのスケールアウト、システムの健全性の確認、セキュリティパッチの適用などの繰り返し作業が毎日行われています。これらの課題は、IT 担当者の日常業務の一部です。そこに CTO が現れ、新しい AI インフラストラクチャとアプリケーションを実験的な PoC から実稼働環境に移行する必要があると告げます。このような取り組みをサポートするための新しい人材やリソースはありません。そして最終的なソリューションは既存のビジネスクリティカルなワークフローと統合する必要があります。
難しい状況を救う自動化
エンタープライズ IT 戦略の一環として標準化を行っている場合、AI インフラストラクチャに自動化を使用することで、この追加ワークロードに対処することができます。すでに Red Hat Ansible Automation Platform を使用している企業なら、これまでに習得したスキルを使って AI の課題に取り組むことができます。
自動化を始めたばかりという場合でも心配は不要です。Ansible Automation Platform はすぐに使い始めることができ、生成 AI 機能である Red Hat Ansible Lightspeed を使用すれば習得にかかる時間を短縮することもできます。
自動化スキルのレベルに関係なく、IT に自動化を適用する (AI も結局のところ IT の延長です) ことで、コストを削減しながら AI の価値を実現するまでの時間を短縮できます。
では、AI の価値を実現するには手始めにどうすればよいでしょうか。最初のステップとして私がおすすめしたいのはごく当たり前のこと、つまり AI デプロイメントを自動化することです。Red Hat が「AI インフラストラクチャの自動化」と呼んでいるこの手順は、全体的な時間の節約、エラーの削減、システムの信頼性の向上といった測定可能なビジネス価値をもたらします。
AI インフラストラクチャを自動化する方法
Ansible Automation Platform を使用して Red Hat OpenShift AI および Red Hat Enterprise Linux AI (RHEL AI) のインストール、構成、保守を自動化することで、予測 AI ソリューションと生成 AI ソリューションの両方をデプロイし、手動タスクを削減し、AI デプロイメント全体で一貫した構成と最適化を実現できます。
AI インフラストラクチャはエンドユーザーに多大な価値をもたらしますが、IT 運用要件のほとんどは手作業のままです。RHEL AI と OpenShift AI への AI ソリューションのデプロイを開始するのに役立つ自動化の例には、次のようなものがあります。
- AI ソリューションを推進するデータの転送とアクセスに使用される、エッジを含むシステム間の安全な接続を確立する
- デプロイメントを標準化し、Ansible Playbook を使用して RHEL AI と OpenShift AI 両方の均一性と信頼性を促進する
- セキュリティを自動化して、許可されたデータとシステムにのみユーザーがアクセスできるようにする
さらに、自動化は、AI ソリューション向けの他のインフラストラクチャでもメリットがあります。
- トップオブラックのネットワークスイッチやルーターなどのハードウェアのインストールと設定が必要
- 検索拡張生成 (RAG) ソリューションで使用するベクトルデータベースのインストールと管理が必要
- OpenAI や Llama Stack などの API を使用して HTTP で AI モデルにアクセスするには、負荷分散ハードウェアとソフトウェアが必要
- モデルのトレーニングおよび調整で使用するデータ用の接続とストレージの設定と管理が必要
自動化が必要なユースケースは他にもまだあります。しなければならないことは多いですが、多くのデプロイメントトポロジーには、自動化が可能な次のようなコンポーネントが含まれています。

Event-Driven Ansible を活用して AIOps ワークフローを構築
AI インフラストラクチャの自動化はできました。それでは次のステップは何でしょうか。前述のとおり、自動化のスキルをすでに持っているなら、その AI インフラストラクチャ上で稼働している、または接続している AI テクノロジーに適用することができます。しかし、新しいスキルとして必要とされることは何でしょうか。また、単に自動化の生産性を全体的に向上させたい場合にはどうすればよいでしょうか。AI は役立つのでしょうか。もちろんです。
Red Hat Ansible Lightspeed (および IBM watsonx Code Assistant) を使用すると、自動化開発者は生成 AI の機能と堅牢な自動化ツールを組み合わせて活用できるため、チームはよりスマートに作業し、ソリューションのデプロイを迅速化できます。それにより、包括的な AI インフラストラクチャ自動化への移行が単純化されます。さらに、OpenShift AI を使用している場合は、すでに Red Hat OpenShift を使用しています。Red Hat OpenShift では AI 以外の多くのワークロード (VM の仮想化と管理を含む) を実行できますが、Ansible Lightspeed はそれらの自動化にも役立ちます。
Ansible Lightspeed に組み込まれている開発者用生成 AI ツールは、単純に項目を選択して実行するだけの AI ソリューションではありません。Red Hat は慎重な考慮のうえで生成 AI と予測 AI を自動化ワークフローにシームレスに統合しているため、ユーザーは AI を使用していることに気付かないことすらあります。これにより、Ansible Automation Platform のコンテンツ作成者は、より迅速かつ効率的に、より高い精度で自動化コードを開発できます。
AIOps ワークフローの完全な自動化
この記事でここまで紹介してきたワークフローは、いずれもどこかで人間が関与していました。しかし、人間が介入することなしに、自動化が魔法のように行動を起こすことは可能なのでしょうか。もちろん可能です。
適切な AI 運用 (AIOps) ワークフローは、イベント駆動型の自動化を活用して実現されます。イベント駆動型の自動化は、既存の IT デプロイメントで発生するイベントによってトリガーされる処理を自動的に実行します。イベント駆動型の自動化を導入すると、AIOps から次のようなメリットを得ることが可能になります。
- 解決のスピード:AIOps は、新たな問題を検出してそれに対応することでダウンタイムを削減し、平均解決時間 (MTTR) を短縮するのに役立ちます。
- 自己修復または閉ループ自動化システム:インフラストラクチャの自己修復が可能になるので、パフォーマンスと稼働時間が大幅に向上します。
- ビッグデータ:AIOps はビッグデータをより効率的にクリーニングし、分析し、それに対してアクションを実行することでビッグデータを活用できます。
- 効率とスケール:アクションの特定と検出の拡張に AI モデルからの知見を活用することで、スタッフの効率を向上させることができます。
- 単純化:AIOps は、多くの反復的な IT サービス管理タスクを効率化し、場合によっては完全に自動化することができます。
- リアルタイムのデータ相関と意思決定:AIOps に自動化エンジンが含まれる場合、データに基づいて自動的に応答できるため、ノイズを最小限に抑えながら人間の介入やエラーを削減できます。
- データ相関と予測の拡張:AIOps は、人間が手動で処理できる量をはるかに超える大量のデータを自動的に分析できます。
AI ワークフローを保護するためのビジネスポリシーとセキュリティポリシーを追加
AI インフラストラクチャをデプロイして自動化し、AIOps ワークフローを正常に統合し、完全な自己修復型の閉ループ自動化が実現したら、最後に、AI を意図した範囲でのみ機能させるためのガードレールが必要になります。
AI 戦略は、信頼でき、長年にわたって施行されてきたビジネスポリシーに沿ったものでなければなりません。ポリシー適用はこのストーリーの最後のステップです。必要なのは、AI の判断をサポートするためのガードレールです。自動化できるからといって、必要なコンプライアンスおよびセキュリティチェックなしに自動化していいということにはなりません。
さらに詳しく
AI の基盤として Red Hat Ansible Automation Platform を選ぶメリットについては、こちらの記事をご覧ください。AIOps についてのさらに詳しい情報については、こちらの短い動画とこの記事をご覧ください。
また、2 つの Red Hat インタラクティブ・エクスペリエンス (Red Hat Ansible が開く AIOps の可能性、Event-Driven Ansible と Red Hat OpenShift) も用意されています。それぞれ 2 分以内でご覧いただけます。
執筆者紹介
With over thirty years in the software industry at companies like Sybase, Siebel Systems, Oracle, IBM, and Red Hat (since 2012), I am currently an AI Technical Architect and AI Futurist. Previously at Red Hat, I led a team that enhanced worldwide sales through strategic sales plays and tactics for the entire portfolio, and prior to that, managed technical competitive marketing for the Application Services (middleware) business unit.
Today, my mission is to demystify AI architecture, helping professionals and organizations understand how AI can deliver business value, drive innovation, and be effectively integrate into software solutions. I leverage my extensive experience to educate and guide on the strategic implementation of AI. My work focuses on explaining the components of AI architecture, their practical application, and how they can translate into tangible business benefits, such as gaining competitive advantage, differentiation, and delighting customers with simple yet innovative solutions.
I am passionate about empowering businesses to not only harness AI to anticipate future technological landscapes but also to shape them. I also strive to promote the responsible use of AI, enabling everyone to achieve more than they could without it.
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