Red Hat はお客様と深い協力関係を築いて、AI モデルやアプリケーションの構築、デプロイ、監視、利用に必要な AI ツールを提供していますが、社内ではどのように AI を活用しているのでしょうか。この課題に取り組んでいるのが、当社のエクスペリエンス・エンジニアリング (XE) チームです。XE チームは社内の専門家と協力し、Red Hat カスタマーポータル を通じてお客様がリアルタイムで課題を解決できる AI ソリューションを提供しています。
トラブルシューティングの提案
トラブルシューティングの自動提案機能は長年にわたり Red Hat カスタマーポータルでご利用になれましたが、AI 機能が追加される前は、検索で最初に表示される関連性の高い記事が、単語の一致度によって 2 番目や 3 番目、あるいは 23 番目になることもありました。従来の検索機能は一致するすべての結果を返しますが、AI を活用した再ランク付け検索では、最も関連性の高い結果が最初に表示されます。お客様が提供する情報が詳細であればあるほど、結果の精度が高まります。
結果を評価した後、お客様は提案を確認または無視するかを選択でき、追加で自動分析を行うためにログを提供することもできます。また、質問が解決されたかどうかを判断し、ユーザーインタフェースを介して、既に提供された詳細を活用してサポートケースを作成することもできます。お客様が提案された解決策の少なくとも 1 つを確認し、サポートケースを作成しなかった場合は、自己解決が成功したと見なされます。
Red Hat の XE チームは、AI のサポートを活用し、お客様が問題を自己解決できる選択肢を提供することに注力しています。このアプローチは、迅速かつ効果的な解決を望むお客様の期待に沿うものです。一般的な問題や優先度の低い問題を自己解決できる能力が向上したことで、XE チームは AI によって節約された時間とリソースを、より具体的で洗練されたお客様のニーズに応える解決策の作成に充てています。今後はさらに多くのユースケースで AI を活用する計画があります。
ナレッジベース・ソリューションの概要
ナレッジベースの概要は、検索結果の特定と表示を目立たない形で効果的に支援します。この機能は、IBM Research と共同で開発された生成 AI 要約モデルを活用しており、現在、IBM Cloud プラットフォーム上の watsonx.ai 内で動作する Mixtral-8x7b-Instruct-v01 を使用しています。要約 API と更新パイプラインは Red Hat OpenShift AI クラスタ上で実行され、OpenShift AI データサイエンスのパイプライン機能を活用しています。
これまで、Red Hat ナレッジベース・ソリューションには概要がなかったため、検索やトラブルシューティングの提案結果には解決策コンテンツの冒頭部分しか表示されず、タイトルやエラー文字列の再表示程度にとどまっていました。このため、お客様は探している情報を見つけるために複数の解決策をクリックして開き、確認する必要があり、余分な手間と時間を要しました。
この課題を解決するために、Red Hat XE チームは 130,000 を超える解決策の概要を生成・表示する AI ソリューションを開発しました。これにより、お客様は関連性の高い解決策を以前より迅速かつ効果的に特定できるようになりました。
XE チームは、Red Hat のナレッジ管理およびコンテンツ作成の専門家と連携し、AI が生成した要約を従来の「冒頭の x 文字」形式と比較してレビューしました。その結果、AI 生成の要約が従来の手法に比べて精度が約 80% の範囲で向上していることが確認されました。さらに、機能リリース後に Red Hat サポートの専門家が独自に 200 件の解決策概要を分析したところ、AI 生成要約の精度が 94% に達することが判明しました。
この機能は測定がやや困難ではありますが、XE チームとその協力者にとっては、AI 要約機能の構築に向けた貴重な一歩となりました。AI を活用した顧客対応体験のリリース以降、自己解決エンゲージメントの成功率は AI 導入前と比較して 20% 増加しており、Red Hat のような大規模なサポート組織にとって実質的なコスト削減に寄与しています。
この機能は Red Hat カスタマーポータル (認証が必要) で今すぐ体験できます。Red Hat XE チームは、AI ソリューションを活用してお客様により良いエクスペリエンスを提供し、お客様の課題解決をサポートする方法を改善するために継続的に取り組んでいます。Red Hat は、AI プラットフォームの機能を紹介するとともに、Red Hat 製品を使用して実際の AI 機能を構築し、カスタマー・エクスペリエンスに直接影響を与えて改善する方法を自ら実践していることに力を入れています。
執筆者紹介
Mandy is senior director, AI and Data, for Red Hat's Experience Engineering team.
Matt is the AI Portfolio Lead for Red Hat's Experience Engineering AI & Data team.
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