DNEG、柔軟なアーキテクチャで VFX 制作環境を強化

同社がグローバルで拡大し続けるにつれ、ソフトウェア配信・資産追跡システムは膨大な作業負荷に追い付かなくなっていました。そこで同社は、顧客により良いサービスを提供するため、費用対効果の高いソリューションを探していました。

DNEG では、アーティストが使うテクノロジーのアーキテクチャを変革したいと考えていました。そこで着目したのが Kubernetes を使ったコンテナ化ソリューションです。同社の業務は機密性が高いため、クラウド・ソリューションは選択肢になりえませんでした。DNEG のテクニカル・リーダーである Umesh Athigari 氏は次のように説明しています。「当社には多くのセキュリティ要件があります。スタジオの資産はすべて、オンプレミスのプライベートデータセンターに保存する必要があるのですが、Red Hat® OpenShift® はそのようなニーズにマッチしていました」

Red Hat OpenShift をコンテナ・プラットフォームとして活用することで、グローバル事業全体でアプリケーションの開発、管理、提供を標準化できることになります。Red Hat OpenShift Platform Plus は、オンプレミス、クラウド、エッジでアプリケーションを構築して実行できる、セルフマネージドの Red Hat 製品のセットです。DNEG では、大量のデータをホストして処理し、従来の構造を一連のマイクロサービスに分解する際に効果を発揮しました。

Red Hat OpenShift は今や、社内アプリケーション「Pipe Query」の基盤です。このアプリケーションは、動画資産のストレージを管理し、アーティストが動画レンダリングにアセットを使用するたびにデータベースに問い合わせるなど、開発者にとって不可欠な API ベースのツールです。Athigari 氏は次のように語ります。「デジタルアセット管理システムのバックボーンを [Red Hat] OpenShift に移行することで、新しい業界標準である Universal Scene Description (USD) 技術に基づくパイプラインが可能になりました。[Red Hat] OpenShift がなければ、当社の API は大幅に機能が制限されていたことでしょう」

さらに、DNEG が Pipe Query を効果的なツールへと進化させるにあたり、Red Hat コンサルティングの広範なサポートに後ろ盾された Red Hatトレーニングが役立てられました。Athigari 氏は、「Red Hat のコンサルタントからは、アーキテクチャに関すること以上のものが得られました。チームについて、また、チーム運営に必要な人材やスキルについて、コーチングやアドバイスも提供してくれたのです」と述べています。

Red Hat OpenShift Platform Plus により、DNEG の開発環境は柔軟性とスケーラビリティが大幅に向上しました。開発者エクスペリエンスが向上し、主要なプロセスが自動化され、より迅速かつ容易に需要の高まりに適応できるようになったのです。DNEG のソフトウェアアーキテクトである Ian Abbott 氏は次のように語ります。「私たちの業務にパイプラインは不可欠です。[Red Hat] OpenShift のおかげで、パイプラインの強化とイテレーションが可能になり、大規模な案件やプロセスへの対処方法を改善できるようになりました」

ビジュアルエフェクト (VFX) アーティストにとって、リソースの制御能力が強化され、待機時間が大幅に短縮され、消費コストの可視性が向上しました。チームが傾向を把握し、費用対効果の高い決定を下せるようになったのです。

DNEG では次の計画として、環境への制御能力をさらに高め、リソースをより正確に割り当てられるよう、Red Hat 3scale API Management を導入する予定です。Abbott 氏は次のように締めくくりました。「可能性という面では、まだまだ実現可能な領域があります。あらゆる部分の自動化と効率化が進み、モニタリングがさらに容易になっていくのがわかります。Red Hat により開発者環境がどのように改善されていくのか、今から楽しみです」